推し活スポンサー公爵との期限付き婚約生活〜溺愛されてるようですが、すれ違っていて気付きません〜

ミシュリーヌは顔合わせを終えて、レダー公爵家からシューマノン子爵邸へと向かった。
馬車が停まり花に溢れた門の前。
遠くからでもわかるキラキラと輝くように放っている美貌。
クロエがミシュリーヌの帰りを待っていたようだ。


「──ミシュリーヌお姉様っ!」

「クロエ、ただいま」

「本当にレダー公爵と婚約を!? わたくしは……っ」


クロエは今にも泣きそうになっているではないか。
いつも淡々としている彼女がこんな風に感情を剥き出しにして、取り乱すのは珍しいことのように思えた。
レダー公爵の名前を出しながら不安そうにミシュリーヌを見て、ミシュリーヌはハッとする。
ミシュリーヌの頭にある考えが思い浮かんだ。

(まさかクロエはオレリアン様のことを……?)

ミシュリーヌはオレリアンから、手紙で婚約の申し出があった日のことを思い出していた。
手紙が来た日はクロエはお茶会に出かけていた。
騎士団の仕事へと向かうエーワンと入れ替えるようにクロエがお茶会から帰ってきたのだ。

そして両親が事情を話すと、クロエは目を見開いていた。


『ミシュリーヌお姉様が、レダー公爵と婚約を……?』

『そうなのよ。最初はあなたと間違えたんじゃないかしらと思っていたんだけど……』

『何度見てもミシュリーヌ宛てなんだ』