平日は上原さんと会い、
週末は千明と過ごす日々が半年程過ぎた頃、
俺は同期の南に呼び出された。
 「なぁ、香月、おまえ上原さんとも
付き合ってるだろ?」
 彼の突然の質問に動揺した僕は、
思わず俯いた。
 「はぁ~、やっぱり」
 深く溜息をついた南は、呆れ顔で
 「おまえさぁ、俺、忠告したよな。
 二股なんておまえどうすんだよ。
  それに、おまえそんなタイプじゃ
ないじゃん」
 「二股って……俺は」
 「上原さんのこと本気なのか? 
それとも遊び? 千明さんはどうすんだよ」
 「上原さんのことは……」
 「上原さんのことは?」
 「年下で、素直で一緒にいて楽しい子で
でも、ふとした時に見せる弱いところは
俺が守らなきゃって……、
だから会えば会うほど、会いたくなる……
おかしくなりそうなんだ」
 「おまえ……」と呟く南。
 「千明……は俺のこと何でもわかって
くれて。包容力のある大人の女性だよ」
 俺は付け加えるように呟いた。
 大きな溜息をついた南は、
 「このまま、二人との関係を続ける気か?
このままだと、上原さんも千明さんも傷つける
ことになるぞ。香月、しっかりしろよ!」
 と語気を強めた。

 この時、俺は南の言葉を頭では理解
していた。
でも……可愛いらしい上原さんと、
大人の色香を放つ千明の狭間で揺れ動く衝動を
どうしても抑えることが出来なかった。