ピピピピ……ピピピピ。
 鳥のさえずりに目を覚ました父、
少し二日酔気味なのか普段より
身体が重く感じたがなんとか身体を起こし
ベッドから立ち上がった。
 ベッド脇に添えられたサイドテーブルの上に
置かれた仕事用のカメラを手に取った父親は、
昨夜写して回った写真をもう一度見ようと
カメラの画面に写真を表示した瞬間
言葉を失い、カメラを片手に部屋のドアを
勢いよく開け階段を駆け降りて行った。

 息を切らしながら階段下に着いた父親の姿を
見つけたオーナーが歩み寄って来ると、
 「おはようございます。
 ご気分はいかがですか?」
 と微笑んだ。
 すると父親は、
 「彩……娘が何処にいるか知りませんか?」
 と真剣な表情で尋ねた。
 「お嬢様なら、庭の椿を見に行かれましたよ」
 「椿?」
 「はい……ここの庭には昔、鎧越家の
若きご当主が大切に育てておられた椿の木が
ございます。この館の椿は雪の重みにも
耐えておりまして丁度今が見ごろでございますよ」
 オーナが―が父親に告げると、
彼はゴクっと息を飲み込みその場から駆け出し
庭に向かった。