シル様の足元にしゃがむと、風でマントが靡く。
私は未だに固まってるシル様を見上げた。
「この命、すべて捧げる所存でございます。命じていただければ迷わず動き、問われれば真を語りましょう。剣となり盾となり影となって御身をお守りいたします。貴方様の歩みを乱すものがあらば、我が身をもって排除いたします。何時も傍に侍らせていただくご許可を」
許可を乞う、と言いながらも勝手にそのつま先に口づける。
冷たい靴が唇に触れ、体を起こした。
「シル様、これで私はシル様の所持物でございますね」
「ネフ・・・いいの?忠誠は人生を縛る鎖だよ。重鎮の、国王陛下への忠誠は義務だけど、ネフは義務ではない。僕に仕えるとはいえ、忠誠までは・・・僕に望む資格はない」
「おや。では、プライドを捨て、つま先をに口づけた私を拒むのですか?あれほどのセリフを吐いたというのに、それを撤回しろと?ひどく残酷でいらっしゃいますね、王弟殿下?」
嘘と本音が混ざったセリフを口にしてみると、シル様が困ったように微笑む。
「ネフ・・・」
首をかしげて髪を結うリボンを月光に照らしながら、シル様が悩み始めた。
言葉には出さないものの、随分と自問自答しているようだ。
「お悩みなのでしたら、受けていただけませんか?私の意思を尊重してはいただけませんでしょうか」
「でもね、ネフ。僕たちは今日・・・じゃなくて昨日出会ったばっかりだよ。ネフは僕のだけど、急に心まで手に入れれることは難しい。忠誠を誓わなくて、宵月にいることは可能なんだ」
「シル様・・・」
シル様のその言葉に、私は思わず自嘲気味に笑った。
「シル様は、私を拒むのですね」
「え。・・・い、いや、ネフ・・・」
「突然申し訳ありません。もう夜は深いですよ、そろそろ戻りましょう。きっとシル様がここにいらっしゃるのは、シオンたちも把握済みでしょう。部下に心配を掛けてはいけませんから」
「ネフ、待って。僕は拒・・・」
慌てたように口を開くシル様を、笑みで遮る。
「大丈夫ですよ、シル様。シル様のご許可がいただけないのでしたら、私は何もできません。ここから出てはいろいろな方に迷惑が掛かるので、それはいたしません。拒まれたからといって拗ねるほど、私は子どもではないのですよ」
本当は、すこし拗ねてる・・・いや、ショックを受けていたりする。
だって、この方の傍にいると決めて、忠誠を誓おうとしたら、拒まれたのだ。
私がこうなるのも仕方ないだろう。
私だってプライドがあるし、施設から出てきたばかりの、メンタル幼子同然なんだから。
「本当は送っていくのがいいのでしょうが、今夜はやめておきましょうか。シル様に気を遣わせてはいけませんので、私はこれで失礼いたしますね。ではゆっくりお休みください」
「ネフ。ネフの気持ちは嬉しい!その、忠誠も、誓ってくれたのは、」
「シル様。・・・失礼いたしますね」
なんだか苦しそうなシル様に一礼をして、マントを翻した。
そのまま屋根を伝い、窓から自室に入る。
少し抉られたメンタルに嘲笑しながら、私はマントを脱いでベッドに入った。
私は未だに固まってるシル様を見上げた。
「この命、すべて捧げる所存でございます。命じていただければ迷わず動き、問われれば真を語りましょう。剣となり盾となり影となって御身をお守りいたします。貴方様の歩みを乱すものがあらば、我が身をもって排除いたします。何時も傍に侍らせていただくご許可を」
許可を乞う、と言いながらも勝手にそのつま先に口づける。
冷たい靴が唇に触れ、体を起こした。
「シル様、これで私はシル様の所持物でございますね」
「ネフ・・・いいの?忠誠は人生を縛る鎖だよ。重鎮の、国王陛下への忠誠は義務だけど、ネフは義務ではない。僕に仕えるとはいえ、忠誠までは・・・僕に望む資格はない」
「おや。では、プライドを捨て、つま先をに口づけた私を拒むのですか?あれほどのセリフを吐いたというのに、それを撤回しろと?ひどく残酷でいらっしゃいますね、王弟殿下?」
嘘と本音が混ざったセリフを口にしてみると、シル様が困ったように微笑む。
「ネフ・・・」
首をかしげて髪を結うリボンを月光に照らしながら、シル様が悩み始めた。
言葉には出さないものの、随分と自問自答しているようだ。
「お悩みなのでしたら、受けていただけませんか?私の意思を尊重してはいただけませんでしょうか」
「でもね、ネフ。僕たちは今日・・・じゃなくて昨日出会ったばっかりだよ。ネフは僕のだけど、急に心まで手に入れれることは難しい。忠誠を誓わなくて、宵月にいることは可能なんだ」
「シル様・・・」
シル様のその言葉に、私は思わず自嘲気味に笑った。
「シル様は、私を拒むのですね」
「え。・・・い、いや、ネフ・・・」
「突然申し訳ありません。もう夜は深いですよ、そろそろ戻りましょう。きっとシル様がここにいらっしゃるのは、シオンたちも把握済みでしょう。部下に心配を掛けてはいけませんから」
「ネフ、待って。僕は拒・・・」
慌てたように口を開くシル様を、笑みで遮る。
「大丈夫ですよ、シル様。シル様のご許可がいただけないのでしたら、私は何もできません。ここから出てはいろいろな方に迷惑が掛かるので、それはいたしません。拒まれたからといって拗ねるほど、私は子どもではないのですよ」
本当は、すこし拗ねてる・・・いや、ショックを受けていたりする。
だって、この方の傍にいると決めて、忠誠を誓おうとしたら、拒まれたのだ。
私がこうなるのも仕方ないだろう。
私だってプライドがあるし、施設から出てきたばかりの、メンタル幼子同然なんだから。
「本当は送っていくのがいいのでしょうが、今夜はやめておきましょうか。シル様に気を遣わせてはいけませんので、私はこれで失礼いたしますね。ではゆっくりお休みください」
「ネフ。ネフの気持ちは嬉しい!その、忠誠も、誓ってくれたのは、」
「シル様。・・・失礼いたしますね」
なんだか苦しそうなシル様に一礼をして、マントを翻した。
そのまま屋根を伝い、窓から自室に入る。
少し抉られたメンタルに嘲笑しながら、私はマントを脱いでベッドに入った。



