爆弾魔(♀)はご主人様に溺愛されています

ハッと目が覚める(●●●●●)
「・・・っ、はぁ、はぁ」
乱れた呼吸を整え、周囲を見渡した。
サイドテーブルに置かれたマントと、家具。
暗くて色は正確には見えないけど、金色に光ってる部分がある。
「夢・・・」
私・・・なんであんな夢を見たんだろう。
急に不安になって、マントを羽織る。
そのまま、窓から外に出た。
目の前の屋根を伝っていくと、夢路宮の1番高いところに着く。
中央の屋根の上だ。
尖ってる屋根の上でバランスを保ち、腰を下ろす。
妙に明るいな、と見上げると、大きな満月が出ていた。
被検体たちや職員たちを犠牲にして宵月に来た日に、こんなに大きな満月を見るなんて・・・。
なんて皮肉なんだ。
思わず笑みを零すと、後ろから気配と足音がした。
振り返ると、そこにはシル様がいる。
屋根の上なのに、地上のように歩くシル様は、まったく危なげがない。
私がいるのを知っているのか、まっすぐこちらに歩いてきた。
そのまま私に笑みを向け、隣に腰掛ける。
身分差に思わず立とうとすると、視線で制された。
夢でなんとなく察した。
施設にとって私は、100%嬉しい存在ではなかった。
存在がバレたら、自分たちの命も危ない。
だから、大切にする一方で、面倒くさい面もあったはず。
あのまま私があそこにいたら・・・。
なにかしらの方法を被検体で実験し、私から記憶を奪う。
そうしたら、私はもう用なしだ。
一切の慈悲なく殺される。
シル様は・・・私を救ってくれたのか。
そう思うと、なぜかそれがしっくりきた。
これが運命というモノなのか。
「・・・シル様」
「なぁに?出て行きたい?ごめんね無理」
「いえ・・・忠誠って勝手に誓ってもいいんでしょうか」
「・・・誰に誓うの?」
許可を貰おうとすると、シル様の声が一段と低くなった。
「男?いつ知り合ったの。忠誠って王族にしか誓えないからね。兄上?ネフは僕のだよ」
「えぇ、そうですね・・・?なので許可をもらった方がよろしいかな、と」
「っだから、誰なの」
「シル様ですが」
さっきからなにを言っているんだろうと首をかしげる。
「・・・え?」
「満月の夜です。これほど大きな月でしたら、『宵月の君』もご満足していただけるのでは?」
シル様は固まっている。
なにがなんだかわかっていないようだ。
私の主はシル様だって、あなたが言ったんでしょう。
「ご許可はいただけませんか・・・まぁいいです」
どちらにしろ、私は生涯子の方に仕えると決めた。
私を救ってくれた恩は、しっかり返さないといけないから。