俺の痛みに金を払え

その日の夕方
大手前学園に行く途中に
いつもの休憩所にみゆきとかなこがいた。

かなこが俺に気づいて呼び止められ
みゆきの方を見た。

かなこは俺に言った。

かなこ:狂くん。
みゆきも色々あるけあまり責めんでな

俺は初めてみゆきの闇をみた。
いつもは明るくテーションも高く
冗談いったり明るいみゆきだ。

今日のみゆきは目がうつろで
いつもの様に明るくない。

そして、何やら袋を口元にあてていた。

俺:今日どしたん?

みゆきの横に座り
みゆきを見ると腕には大きなアザがあり
目元も腫れていた。

みゆき:あ〜きょうくん

と、力が抜けた様に声をだし
袋を俺に渡して言った。

みゆき:きょうくんも吸いな〜
何もかも忘れれるよ〜

何処かで嗅いだような
鼻に付く匂いだった。

かなこ:シンナーなんよ。
みゆきの親父がみゆき殴るけん
みゆきシンナー吹くんよ。

かなこは辛そうに言った。

俺は辛そうなみゆきを目の当たりにし
自分を見ているようだった。

俺:どーやってするん?
吸えばいい?

みゆき:袋の中に息吹きかけて
それを吸ったらいいよ〜

俺は初めてシンナーをした。

最初は嫌な匂いだったが
いつのまにか
頭はクラクラし中に浮いてる感じがして
気持ちよかった。

かなこは俺とみゆきを見て
誰かに見られたらヤバいから隠れて吸いなと忠告した。

俺とみゆきは手を繋ぎ公衆トイレの
障害者スペースへ移動し
シンナーを回し吸いをした。

フワフワする中
みゆきは俺に抱きついてきて
キスをしてきた。

お互い何をしてるのかわかってなかったと思う。

ただ俺も拒まずでいた。
段々とシンナーよりも
お互いの温もりを求める様になり

トイレの中で初めてsexをした。
初めての快感に快楽を覚え
シンナーを吸ってるせいか
みゆきと寂しさを埋め合った。

トイレから出ると夜になっており
シンナーもなくなり
俺とみゆきは徐々に正気へ戻り
付き合う事になった。

かなこは俺達を祝福してくれたが
シンナーは辞めろと何度も言っていた。

その夜は休憩所で3人で夜中まで話したりして時間を潰した。

夜中みゆきとかなこは
自転車に乗り自宅へと帰っていった。

俺も自宅へ戻ろうと思って
帰ってる中
さっき吸ったシンナーの匂いがしたので
その匂いの方へ行くと
ペンキ屋の資材置き場があった。

露骨にペンキの一斗缶と
ラッカーシンナーって書いてる一斗缶があり

俺は一斗缶を盗んで
自宅へと持って帰っていた。

まだ完璧な正気ではなかったのだろう。

家に入り服を脱ぎ
風呂にお湯をためてる最中に
親父の血痕が目についた。

何故かわからないが
あの日に戻っており俺は鮮明に
あの地獄絵図の中にいた。

ただ意識は今の俺だ。

親父の腕から血が噴射し
慌てる母親に俺は
何で俺を捨てたの?
今何処にいるの?とひたすら聞いていた

母親と親父は血塗れになり
真っ黒になり消えていった。

俺はひたすら自分の服で血をふいていた。
何時間も。
幻覚を見ていたのだ。

幻覚ともわからず
嫌な事を思い出して俺は苦痛に怯えていた。

ためたお風呂にも入らず
放心状態だった。

段々と現実に戻って
夢でも見てたのかと思い
風呂に入り
盗んできたシンナーを袋に入れ
また、シンナーをふいた。

みゆきが持ってたのとは違い
匂いもキツく
吸ってると頭が強烈に脈を打ちガンガンしてきた。

とりあえずこれは何か違うやつかと思い
袋をすて一斗缶を外の山に隠して
一時間くらいして
としの家へといった。