俺の痛みに金を払え

みゆきとかなこ達と一緒にいる時間も多くなった。

大手前学園にたむろするようになり
毎晩何も考えずにいられるから
俺は自分の居場所だと思っていた。

ただみんな朝方になると家に戻ったり
仕事に行ったりで別々になる。
俺は若干寂しさを覚えながら
自宅に戻っていた。

自宅に戻っても誰かいる訳でもない。
むしろ、寂しくなる一方で
俺の体は学校へと向かっていた。

合唱コンクール以来に学校へと顔をだした。

ちょうど、昼休みの時間で
俺を発見するなり
クラスのみんなはトロフィーを見せてくれた。

さとし:狂くん、俺達やったんで

なおき:てか、心配したで

俺:まぁ、ごめんよ
俺なりに考えたけど、俺は一般的に見たら
ヤンキーなんよ
やけ、今後クラスのみんなに迷惑かけたくねぇけん、学校行事は俺参加せんから
それともう学校にはあんま来たくねぇけん。

心配せんでな!
俺は俺なりに考えたけん

なおき:なん、言いよん?

と不満そうに言った。

直樹と俺は親友だったが
中学に入り、としとつるむ様になり
直樹とはあまり一緒にいなくなっていた。
直樹もそれを感じ取り
何処となく俺に距離をあけていたり気を使っていてくれた。

俺はその空気感が嫌で
教室を後にした。

ちょうど直子ちゃんに呼ばれ
一緒にグランドに出て久しぶりに話した。

直子:またピアス増えたね
最近学校にも来てなかったし
心配だったよ。

俺:学校はもう、いいかな。
それに一年の教室にも居場所はないし。

直子:そんな事ないよ
勝手に思ってるだけでしょ?
もっとみんなに頼ったらいいじゃん

俺:頼って変わるなら初めから頼ってる
俺の何を知ってるん?
わかった様な事言わんで

俺は若干直子にイラついた。

直子は下を向き
今まで俺に渡せなかった手紙をまとめて
無言でくれて俺の前から離れていった。

俺は更にイラつきその日は
学校を後にし自宅へ戻った。

直子からもらった手紙を目にし
直子の気持ちも理解した。

最近ほんとに心配で
好きって言う気持ちが大きくなっていってるって内容だった。

俺はそこまで直子を好きにはなれなかった。
遊びではないが中学生の軽い付き合い程度くらいな感じだった。

女、勉強、学校より
今の俺の頭の中は音楽と単車の事でいっぱいだった。