俺の痛みに金を払え

次の朝学校へ行くために起きたが
気が乗らない。

初めてじーちゃんと取っ組み合いの喧嘩をした。
団塊の世代には登校拒否等辞書にはない
力ずくでも学校へ行かせたかったのだ

俺もめいいっぱい抵抗をし
学校は行かなかった。

直樹と約束したが
俺は期待には答えてあげれなかった。
夕方迄ボーっとし
直樹と作った秘密基地へと足が勝手に動いた。

秘密基地は山の中で
木に登り山から村が見える眺めのいい場所だった。

俺は基地につくなり
隠した煙草を吸い村を眺める。

ガサガサ
と草をかき分ける音
音の方へ振り向くと
直樹がいた。

直樹:やっぱ来てたんやな
さっき狂くんぽいの見かけたから
慌ててきたわ

俺:直樹今日ごめんな

直樹:ん?なんが?

俺:学校行かんでよ

直樹:いいよ
きたいときに来ればいいし
でも、みんなあいたがっとーよ

直樹はみんなの事を教えてくれた

直樹:明日さホタル祭りあるけ
一緒行こうや

俺:どこであるん?

直樹:西小であるよ
バスも無料なのが出るし

俺:直樹どーやっていくん?

直樹:毎年みんな家族といって
現地集合であそぶかな

俺:へー
行きてえな

直樹:いこいこ

たわいもない会話をし
ホタル祭りの事を
じーちゃんに聞いた

村の中でも一番のイベントらしく
県外からも多くの人が来場する程の
大きな祭りだ
ホタルが村の名物で
川沿いにホタルが飛び交い
西小のグラウンドに出店が出るほどの
祭り

村は広く、東と西にそれぞれ小学校、
中学校がある

西はかなりの山奥で全校生徒
10人もいない部落だ

俺は祭りに行きたいと話し
母親と姉と無料バスへ祭り会場に行った。

祭りに行くといつもは少ない村に
活気が溢れており
人も沢山賑わっていた。

すぐ直樹と合流し
直樹が

直樹:よい
うちわかったか?

俺:うちわなんかいらんやろ

直樹:あほやなー笑
うちわに抽選番号あるから
最後景品がもらえる抽選があるんよ

俺:まじか!

俺は母親に言いうちわを2枚買ってもらった

すぐにクラスのみんなと合流した

俺はちょっと照れ臭かった

女子3人:あー狂くんやん
きてたん

俺:あ、うん

ひろこ:たかくん、あやまりーよ

たかひろ:狂くん前はごめんな

俺:あぁ俺もごめんよ

2人は照れ臭そうにあやまった

サトシが
抽選まで時間あるけ
出店見てホタル見に行こうといい

俺たちクラスは塊になり
出店で買い物やわなげをし
ホタルを見に行った。

祭り会場からちょっとはなれると
そこには神秘的、幻想的な世界が広がっていたのだ。

山沿いに縦並ぶ古びた廃屋
ホタルの灯りが幻想的に飛び交う

俺:初めてホタルみたけど
めっちゃ綺麗やな

たかひろ:昼間みたらホタルきもいよ

直樹:それ言ったらあかんやろ

一同笑い合った

抽選が始まる放送があり
俺らは体育館へと移った。

一等は大型TV
2等は洗濯機
3等は扇風機
等景品も力をいれた抽選だった。

誰か当たるかな

みんなうちわは2枚程度持っていた

しょうごだけ10枚持っていた
しょうごの家は建築会社で
この祭りのスポンサーでもある

俺はしょうごとも遊ぶがあまり好きな方ではない
金持ちと言うだけであまりよく思わない
マザコンなオカマぽいところが嫌いだった
たまに泊まりに行ってたが
ゲームも山程ある道楽息子だ

抽選が始まり
番号を呼ばれる度
会場には悔しがる声が飛び交っていた

抽選番号に呼ばれなくても
うちわの枚数につき
参加賞としてお菓子の詰め合わせがもらえるシステムだ。

5等116番
5等116番

会場のアナウンスと共に
みんな自分の番号を再確認

俺:あ、!

直樹:どした?

俺:116俺やん

一同:まじやんすげー

俺はうちわを持ち
前へ

おめでとうございます
景品になります。

俺は嬉しくなかった
5等はお米10キロだった

みんなのところへ戻ると

俺:あーあ米か

直樹:当たればいいやんか

俺:TVがよかったな

直樹:まだ諦めたらいけん

1等352番
1等352番

誰しもが狙うTV
会場がどよめく中

しょうご:やったー!

一等の大型TVはしょうごにあったった。

会場の後ろの方で
齋藤さんとこかえ
そりゃあたって当然やわ
出来レースしやがってと
皮肉が飛び交っていた。

小学生の俺らには
出来レースの意味がわからなかった

参加賞のおかしも貰えて

帰る時間になり

みんなが
明日学校で待っとるけんって言ってくれた。

母親と姉と家に帰り

俺:明日から学校いくわ!

母親:えらいね
今日は楽しかったね

母親と姉と俺は久しぶり息抜きができた。
夜寝る時も、幻想的なホタルの残像で
すぐ眠りについた。