俺の痛みに金を払え

小さな村の学校。
転校生等滅多に来る事のない
親戚や兄妹等も多く
幼稚園から中学迄皆んな一緒らしい
クラス全員が幼なじみである。

俺は担任に連れられ
教室に入った。

担任:今日から同じクラスメイトになった
きょうくんだ!
きょうくんは大水市内から引越ししてきて
野球部でエースで学級委員もしてたそうだ。
教育委員長の南部さんとこのお孫さんになる
みんな仲良くするように!

俺:きょうです!
よろしく!

みんなの視線が俺に集まり
物珍しそうにみていた。

担任:みんなも自己紹介してあげて

委員長のさとしです。
何かあったらすぐ聞いてください。

こうへいです。仲良くしてください。

直樹です!よろしく!

タクヤです。よろしくお願いします。

し、し、しんごです。よろしくお願いします。

しょうごです。ぜひ仲良くしてね。

たかひろです。野球でピッチャーやってます。よろしく!

めぐみです。よろしくね!

ちかです。よろしくね!

ひろこです。野球部です!よろしくね。

あやです。仲良くしてね!

みんなの自己紹介が終わり

俺は席についた。

休み時間となると廊下の窓から
違う学年の子達が俺を見に来ていた。

よっぽど珍しく
俺はちょっとだけ不思議な気分になった。

始業式も終わり
その日は午前中で学校が終わった。
登下校はみんな一緒に帰るのが
お決まりだった。

俺は当時社会現象ともなった
エアマックス95を履いていた。

帰る時みんな口揃えて言った。

すげー!初めてみた
高かったやろ!

大水の小学校ではNIKEのスニーカー等
あまり珍しくなく
スニーカーだけで一目置かれた存在になった。

学級委員長のさとしが俺に

さとし:きょうくん今日忙しいかな?

俺:いや、なんもないよ

さとし:きょうくんの家遊び行ってもいい?
あと自転車とかある?

俺:自転車はじーちゃんのあるよ
遊びくる?

さとし:うん!ミニ四駆持っていくね!
また後で

俺:あ、じーちゃんの家にきて!

さとし:はーい

じーちゃんの家は庭も部屋も広く
俺はじーちゃん家でさとしを待った。

俺:じーちゃん
今日友達くるから部屋使っていい?

じーちゃん:おーいいぞ
もう友達できたんか?
誰がくるんじゃ?

俺:さとしってこ

じーちゃん:おー渡邊さん所か
大工さんのせがれじゃ

村自体狭くみな顔見知りだった。

ピンポンとチャイムがなり
さとしが遊びきた。

じーちゃん:よくきたな
まぁ色々教えてあげて仲良くしてやってくれ

さとし:はい

俺とさとしはミニ四駆とテレビゲームをして遊んだ!

さとしは学級委員と見た目通りの
ガリ勉風だ。
角刈りに、年齢とはそぐわない服装だった。

ばあちゃんにおやつをもらい
さとしと会話しながら

さとし:きょうくんに色々案内したいんだ
自転車で走ろう!

俺:いいよ!

二人は自転車にのり
近所を走った。

村の出口に長いトンネルがある
そこを出れば地理上隣町になる。

そのトンネルを二人で
自転車で走り
真ん中でサトシはブレーキをかけた。

さとし:ちょうど、ここが弥生になるんよ
ほら、上見て!

上を見ると
弥生町と書かれた標識があった。

俺:へぇー
意外と狭いだね

さとし:きょうくんの家は入り口付近だから弥生町に近いんよ
本庄は奥に広いから
村では広いほうだよ!

俺:そうなんだ
まだ何もわからないからな

さとし:ゆっくり知って行くといいよ
このトンネルを抜けて
裏道に入って戻ると僕の家だから
僕の家にも遊びにおいでよ

俺:いいの?

二人は自転車を漕ぎさとしの家へ。

さとしの家もでかかった。
大工と聞いて納得する程のたてがまえ。

さとしの家へ着くと
ばあちゃんが玄関近くで作業をしていた。

さとし:ばあちゃん転校生のきょうくん!
南部さんとこのお孫さんよ

さとしばぁ:よく遊びにきたね
上がっておいき

俺:すいません。おじゃまします。

サトシの部屋へ入ると
漫画の中でしか見た事のない
難しい本でいっぱいの
きっちりした部屋だった。

さとしの母親と妹が部屋に
おやつを持ってきて
ゆっくりして行ってねと声をかけてくれた。

さとしの妹は照れ臭そうに
会話する訳でもなく部屋にいた。

俺とさとしは色んな話しをし
夕方のチャイムがなったので

俺:そろそろかえるよ!
今日は色々ありがとう

さとし:また遊ぼうね
帰り気をつけてよ

俺はさとしの親にお礼を言い
自転車で家へ帰った。

さとしの家から自宅まで
村が管理してる大きなテニスコートと
グラウンドがある。

テニスコートは中学生が部活で使う。
グラウンドは少年野球が使っていた。

俺は自転車をとめ、野球部の練習を少し見た。

同じクラスのたかひろとひろこがいた。

人数も少なかった。
学年もバラバラなチームで
俺はがっかりした。

練習風景を少し見て俺は
家へ帰った。

帰りながら
あれが野球部か。
俺は野球をしたかったが
練習を少し見ただけで
もう野球はできないと感じた。

俺が理想としてるチーム
練習ではなかったからだ。