「── 澄乃さん、お疲れ様でした!はぁ……、私の推し、今日もかっこよかったです……!」
お見送りを終え、広報部のフロアに戻ると梨菜ちゃんが駆け寄ってきて、すでに見えない真山さんの姿を辿るように入口の方へうっとりとした表情を向けた。
「それはなによりです」
「……もう!澄乃さんはどうしてあの王子を前に毎回毎回普通にしていられるんですか!」
すると、ふんわりとこなれたローポニーテールにまとめた髪を勢いよく振り回して私の方に向き直った梨菜ちゃんが、ただでさえ大きな瞳をさらにくわっ!と見開いた。
「……だって、仕事だからね?」
……あの何もかも完璧過ぎるところがむしろ苦手だから、なんて正直な感想を今は漏らしている場合ではない。
「うっ……、それはそうなんですけど……。でも、仕事とはいえあの王子からあんな笑顔向けられたら、普通恋に落ちちゃいません?」
「あのねぇ……。いちいち笑顔向けられただけで恋に落ちてたら、仕事にならないでしょう」
「えー、でも、じゃああの完璧な微笑みの下に隠された素顔を見てみたいとか、私生活を覗いてみたいとか、そのくらいは思いません?」
「思いません!はい、今は業務中です。梨菜ちゃん、今週の頭に営業企画部と打ち合わせしてた次のプロモーションの計画案、そろそろできた?」
「さすが澄乃さん、クールビューティーの異名は伊達じゃないですね……!澄乃さんくらいですよ、あの王子を前に一ミリも変わらない女子は……!」
ふさふさのまつ毛に縁取られた二重の大きな瞳をキラキラさせていた梨菜ちゃんは、私の容赦ない返答にがっくりと肩を落としながらも、しっかりとプロモーション案を提出してくれた。
お見送りを終え、広報部のフロアに戻ると梨菜ちゃんが駆け寄ってきて、すでに見えない真山さんの姿を辿るように入口の方へうっとりとした表情を向けた。
「それはなによりです」
「……もう!澄乃さんはどうしてあの王子を前に毎回毎回普通にしていられるんですか!」
すると、ふんわりとこなれたローポニーテールにまとめた髪を勢いよく振り回して私の方に向き直った梨菜ちゃんが、ただでさえ大きな瞳をさらにくわっ!と見開いた。
「……だって、仕事だからね?」
……あの何もかも完璧過ぎるところがむしろ苦手だから、なんて正直な感想を今は漏らしている場合ではない。
「うっ……、それはそうなんですけど……。でも、仕事とはいえあの王子からあんな笑顔向けられたら、普通恋に落ちちゃいません?」
「あのねぇ……。いちいち笑顔向けられただけで恋に落ちてたら、仕事にならないでしょう」
「えー、でも、じゃああの完璧な微笑みの下に隠された素顔を見てみたいとか、私生活を覗いてみたいとか、そのくらいは思いません?」
「思いません!はい、今は業務中です。梨菜ちゃん、今週の頭に営業企画部と打ち合わせしてた次のプロモーションの計画案、そろそろできた?」
「さすが澄乃さん、クールビューティーの異名は伊達じゃないですね……!澄乃さんくらいですよ、あの王子を前に一ミリも変わらない女子は……!」
ふさふさのまつ毛に縁取られた二重の大きな瞳をキラキラさせていた梨菜ちゃんは、私の容赦ない返答にがっくりと肩を落としながらも、しっかりとプロモーション案を提出してくれた。



