桐君はお兄ちゃんじゃない

 え?桐君は……?

 ……置いときましょう……。


「だから、ここにいてもいいんだって、思っちゃって……」


 楓果ちゃんの大きな瞳に、静かに涙が溜まっていきます。

 声の震えも増していき……まるで、迷子の子供のように。


「私……ここにいても、いいですか?楓莉さんたちの、家族になって……いい……」


 楓果ちゃんの言葉の途中で、私は楓果ちゃんを抱きしめました。

 強く、この気持ちが伝わるように。


「いいに、決まってます。ダメなわけがありません。私は……楓果ちゃんをもう、家族だと思っています」


 抱きしめている小さな肩が、震えだします。


「あ、ありがとう……。お姉ちゃん……」

「はい……大丈夫ですよ。楓果」


 そしてしばらく抱きしめ合って……羞恥心が戻ってきたころに、急いで離しました。