桐君はお兄ちゃんじゃない

 賑やかに出て行ったお母さんと綾瀬さん。

 途端に、緊張感が走ります。

 そろそろですよね……私の妹……楓果が来るの……。


「楓莉、そんなに緊張する必要、ある?」

「だ、だだ、だって……。兄弟とはいえ、会ったことないんですよ?ちょっと前まで存在すら知りませんでしたし……」

「ふーん……大変そー」

「やめてください……何か、何か……。」


 私に反して飄々としている桐君が妬ましくなってきます……。

 こっちは、こんなにも緊張しているのに……。


〈ピーンポーン〉


「き、来ましたよ……!」

「うん」


〈ガチャ……〉


「はーい……」