桐君はお兄ちゃんじゃない

「えーっと……大丈夫?三澄さん」

「はい……」


 そう、これでいいのです。

 自分からは話しかけず、話しかけられたら陰のオーラで対応する……完璧ではないでしょうか……!

 こうしておくと、香坂君も私に興味を失い、そのうち話しかけてこなくなる……!

 ぼっちライフ=最高 です!


「じゃあ、一限目始めまーす」

「はーい、きりーつ」

「はーい」


 全く覇気のない声で授業が始まります。

 ……ですが、クラスの大半が、授業に集中できていない様子。


「ねえ、香坂君、雰囲気いいよね……」

「それな!何か、爽やか王道イケメンって感じ……!」

「茶色がかった髪……切れ長きゅるんな幼さを感じさせる瞳……綺麗な形の薄い唇……」

「えー……でも、私は綾瀬君派かなー……」

「うっそ……!私は断然……てわけでもないけど、香坂君派……!」