桐君はお兄ちゃんじゃない

「はい」


 ふぇー……綺麗な声の人なんですね……。

 透き通った、水のような声に、ぼーっと耳を傾けてしまいます……。

 入ってきたのは、女子の情報通り、綺麗な男の子でした。


香坂礼(こうさからい)です。よろしくお願いします」


 ふぇー……。

 挨拶まで礼儀正しいなんて……あ、【名は体を表す】というやつですね……。

 何だか、彼からは【陽】の気質を感じます……。

 私とは関わることのない人種……。


「はーい、香坂君。三澄さんの隣ねー」

「「「……え」」」


 ……え。

 私の心の声と、女子たちの声が重なってしまいました。

 え、この陽の塊の隣で、私、生活しなければいけないのでしょうか……。

 =(彼のことが気になる女子たちに目を付けられ、何かよからぬことが起こる)死……でしょうか……。