桐君はお兄ちゃんじゃない

 私が質問しようとしたのに……先を越されてしまいました。

 何で、って……。


「心配だったからです」


 お母さんの幸せのため、というのも、もちろんありますけど……。

 今、彼に伝えるべき言葉は、それじゃない気がしました。


「寂しいんですよ。家族が足りない食卓って。すごく……」


 母子家庭だった家は、1人で食事をとることも多くて、その度に、寂しさを感じていましたから……。


「……ふーん」

「そうです……。帰りましょう。お家に」

「……うん、でも、もうあんなことするなよ」

「あんなこと……?」


 私、何かしたでしょうか……?

 
「ああやって……意味分かんない連中に、声かけんなよってこと」

「あ、なるほどです」


 随分と不器用な言い回しですね……。

 それでも、綾瀬君の優しさが沁みるようで、少し、嬉しかったです。


「というか、桐君、夜が好きなんですか?」