桐君はお兄ちゃんじゃない

「あ、三澄(みつすみ)さんだ」

「今日も暗ー」

「そういえば、話したことないわー」

「そりゃ、入学してまだ2週間じゃん」

「顔可愛いのに、もったいなくね?」


 全身に突き刺さる視線。

 私に聞こえないように、繰り広げられている言葉。

 いや、勝手に聞いてしまってすみません。
 この地獄耳が、どうしても声を拾ってしまうようでして……。

 誰にも言えない謝罪の言葉を脳内で繰り返す。


 私の名前は、三澄楓莉(みつすみふうり)。高校1年生です。

 入学して2週間、この学校でまだぼっちなのは、きっと私だけ……。

「うっせーよ」

 ……ではないことを、思い出しました。

 机の上で足を組み、イライラした口調で言い放った彼。
 綾瀬桐(あやせきり)君も、私と同じく、いつも1人でいるようです。

 彼の言葉に、今日も教室は凍り付きました。