桐君はお兄ちゃんじゃない

 冷や汗をかいている私に対して、またまた「あら?」と首をかしげているお母さん。


「また、言ってなかったかしら。今日から、綾瀬さんたちと、一緒に暮らすのよ?」

「……っまったく、聞いてなかったんですけど……」

「あら、本当に?ごめんなさいね、うっかりしてたわ」


 「うっかりしてたわ?」じゃないんです!

 どうしてくれるんですか。何一つ情報がないんですけど!

 もう、さっきの感動ムードを返してください!

 頭の中が大混乱の私をよそに、「あらー」「そうだったのかい?」の会話を繰り返している2人。

 呑気というか、似た者同士というか……。

 いや、でも、決定事項のようですし……私の我儘で予定をずらすわけにはいきません。

 ここは、仕方がありません……。


「分かりました……。あの、こちらです……」


 私は、私のできることをやりましょう。

 ひとまず、綾瀬君を部屋に案内して、一時退散です……!


「ここです……」