音の放浪者

「だから俺、ボーカルはやらなくていい。」



「じゃあ、私がボーカルってこと?」



「あはは、風音めっちゃ吃驚してるじゃーん!」



「そりゃ吃驚もするよ……。私は蓮城くんがボーカルになると思ってたし」



「そう?私はボーカル風音が適任だなあって思ったよ?」



「でも、なんでボーカルやらないの?コーラスとかでも一緒に歌ってくれたら結構心強いんだけど……」



私が蓮城くんにそう問いかけると、



「俺がやりたいのはギターだから。
まあ、コーラスくらいだったら手伝ってやるよ」



と言って、蓮城くんはタブレットを操作して次の曲を予約した。




残りの時間、私たちは軽食を頼んだり、デュエットをしたりして少しずつ仲を深めていった。





「あー、カラオケなんて久しぶりだから楽しかったなあ」



カラオケが終わり、帰り道を歩いている時に彩世はそう呟いた。



「あ、楽器屋さんだ」



私は思わずそう呟いた。



「ごめん、私ここちょっと見て行きたいから先帰ってていいよ」

私がそう言うと、

「風音が行くなら私も行く!」

「俺もちょっと見ていきたい」

「皆が行くなら僕もついて行くよ」



ということで、皆で楽器屋さんへと足を運ぶ流れになった。