男装バレしてないのに距離はバグってます


着替えについやした時間を取り戻すように家を出てまた走り、その間に翠花の言葉を思い出す。

『派手な髪だった』……そのワードをたよりに、私は思い当たる男の子たちがいるところへと向かっている。

目的の場所は隣の区。

そこは通称──【D区】。

Dの意味は、危険=Dangerous。
ある程度平和なこちらの区からD区の境界線をまたいであっちにいけば、必ず危険がつきまとう。そんな理由らしい。

私たちの住んでる区にも不良はいるけれど、たまに見かけるだけの多分不良だろうってくらいの集団だから、物取りなんて出来る度胸はないと見ている。派手髪なんてここいらの不良グループにはほとんど見かけない。
だから私は迷いなくD区へと走ってきた。

本当にやばい不良たちはD区にいるから。

こちら側であまり物取りをするような不良はいない。ゆえにD区の彼らが私たちの区にいれば目立つってこと。
D区内ではなくこっちで物取りをして悪目立ちしたのがアダになったな、と内心あきれてしまう。