「ぼうれい、はたまた幻覚なんて言ってたやつがいたくらい、誰がやったのか何一つはっきりしなかった。強いて言うなら、小さかったなんて言うやつがいたらしいが……」
本当の姿を誰も見ていない、と。
「そ、そうなんだ」
「結局、素性は知られず、なぞのまま。色々なウワサがたっただけだった。ま、それだけボロを出さなかった、ってことだろうな」
これは……まぎれもなく私のこと。
今と同じように、傷つけない倒し方をしていた。
翠花のところを行き来していた時は、ハイネックに帽子、フードを深く被っていたから、私の背丈くらいしか情報がなかったんだろう。
最後にD区へ行った時に、竜琉くんが話していたウワサがされていたことを知った。
傷なしの不良が倒れていた場所や日にちを話している不良くん同士を見かけた瞬間、自分のことだと確信したけど……翠花の引っ越しが済む頃だったから気にしていなかった。
ウワサなんていっときのもの。私がD区に行かなくなれば、自然と誰も話さなくなると思って。



