男装バレしてないのに距離はバグってます



翠花が泣いてて、何故私が早退するのか。
今来たばかりの二人にそんな疑問を抱かせたままになるも、深く聞かれる前に『じゃ』と軽く手を振って、まだ人の少ない廊下を全力で走った。
私の背中に後ろから『分からんけどがんばれー』って言ってもらえたのは素直に嬉しい。




──学校を出て、急いで来た道を戻るようにひたすら走っている。翠花のペンダントを取り戻すために。
すでに仕事へ行って誰もいない家に一度戻り、かばんから制服のパンツを取り出して、スカートからパンツスタイルへ。
急な雨対策として持ち歩いてて良かった。部屋に行く時間のロスがなくなるから。
スカートを軽くなったかばんの上に放って、ワイシャツの上からいつも玄関脇にかけてある、ハイネックのジップパーカーを着る。


「さすがにあっつ……。でも仕方ない」

口元まで隠れるハイネックにすでに汗がにじむも、これは顔を少しでも隠したいがため。
そして、ローファーから動きやすいスニーカーへとチェンジして準備万端。