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"夏休みに入ったら動く"──四人にはそう伝えてあった。
ペンダントを探している理由と、どういう子が持っていったのかは改めてチャット上だけど話もできた。
だから、夏休み始まるまではD区へ行きたい気持ちをなんとかおさえながら過ごしていた。
だけど、明日からはそれも終わり。
放課後のホームルームが終わった矢先、クラスは夏休みの話題で盛り上がりを見せていた。
「よっしゃ!一悠、夏休み遊び行こうよ」
「……そうだね。行けるようにがんばるよ」
「がんばるって……あー宿題山盛りだしなぁ。プリントなくしそうなくらい」
「そうそう、まずは宿題やらなきゃだね。それじゃ、お先にー」
うまく宿題の話をして、急いでもいないのに小走りに学校を出てしまう。
それだけ、やる気があっていいんじゃないかって思うことにしよう。
「ん?」
校門を出てすぐ、翠花が立っていた。
「翠花、先に帰ったんじゃなかったの?」
「……教室だと人目があるから。まだ校門前の方がいいかなって」
ぎゅっとかばんの取っ手をにぎりしめる翠花。
「どうか、怪我には気をつけて」
「……ありがとう」
深く頷いて、翠花へと背中を向けた時、目が潤んでるのが見えた。
──ごめんね、振り向いたりできないや。
一日、一日が今の私にはとても大事だから。



