男装バレしてないのに距離はバグってます



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「はぁー」

結局、あれからまた何人かと会えて喧嘩になるも情報得られずなにも収穫はなしだった。
早退して意気込んで来たのに……。でもまぁ、そう簡単にいったら苦労はないよね。

気付けば下校には丁度いい時間になっていて。玄関に荷物を置いてきたし、早退したことバレないよう、お母さんたちよりはやく帰らないと。
だから今日のところは、他の不良くんに見つからないうちに退散──


「喧嘩、初めてじゃねぇなお前」
「……っ誰?」

静かな住宅街で急な声に振り向けば、塀に座って私を見下ろす男の子がいた。
というか、いつの間に……?物音一つ、聞こえなかった。

暗めの私服姿に、風でなびく黒髪には少なめに入ったターコイズブルーのメッシュが映える。
キリッとした顔立ちに、今日会った不良くんたちと全然オーラが違うものを感じた。
タダモノじゃないっていうのがただ座ってるだけなのに、ひしひしと伝わってくる。

とっさに身構えれば、男の子はフッと笑った。