放課後。
「優衣、一緒に帰ろう」
「ごめん、佳奈。私、ちょっと用事があるから。先に帰ってて?」
声をかけてくれた佳奈に断りを入れると、私はカバンを持って急いで教室を飛び出した。
昼休みに空き教室で見た柊木先輩の落ち込んだ顔が、あれからずっと頭から離れなかった。
あの不器用なキャラ弁の理由が、どうしても知りたかった。
私は、早足で廊下を駆けまわる。
先輩……どこにいるんだろう?
3年生の教室に生徒会室、いつもの空き教室など、心当たりのある場所をくまなく探してみるけれど。先輩の姿はどこにも見当たらない。
「……そうだ!」
今日の昼休みの不器用なキャラ弁のことを思い出した私は、図書室へと向かう。
もしかしたら先輩は、キャラ弁作りのために料理本やイラスト集を見て勉強しているかもしれない……そう思ったのだ。



