「ある日、優衣がいつも幸せそうにルナのパンを食べているのを見かけて……俺、そのパンが、優衣にとっての『特別なもの』なんだって感じたんだ。だから、俺も優衣にそんな風に思われるものを作りたくて、キャラ弁を作り始めた。いつか俺の作ったキャラ弁で、優衣が心から笑ってくれたらって……そう思って」
そうだったんだ。まさか、先輩がそんなふうに思ってくれていたなんて。
「そして気づけば俺は、昼休みに空き教室で本を読みながら、いつも窓の外を見ていた。無意識に優衣の姿を探していたんだ」
「……っ」
信じられない気持ちで、私はただ先輩を見つめる。彼の言葉に、驚きと恥ずかしさで胸がいっぱいになった。
「そしていつからか、優衣が空き教室にやって来るようになって……俺、嬉しかった。本を読むフリをして、君がいる扉のほうをいつもこっそり見ていたんだ」
「……」
彼の言葉に、私は顔が熱くなるのを感じた。
えっ。ということは、先輩は今までずっと、私がこっそり廊下から先輩を見ていたことを知っていたの?
やだ、恥ずかしい……。



