私の告白を聞いた瞬間、先輩は目を見開いた。

いつも完璧に整えられていた彼の顔が、みるみるうちに赤く染まり、耳まで真っ赤になっている。

彼は、気恥ずかしそうに頬を掻きながら、初めて私に年相応の少年の顔を見せた。

「……優衣」

突然、名前を呼ばれ、ドキリとする。

彼は私の手を取ると、やわらかな笑顔で告げた。

「……俺は、今までずっと完璧な人間を演じてきた。小学生の頃、親の期待に応えるために、完璧でいないと愛されないって思い込んでいたんだ。そのせいで、いつからか誰にも心を開けなくなり、俺はいつも孤独だった」

先輩の告白に、私は息をのんだ。

まさか、彼の完璧な姿の裏にそんな苦悩があったなんて……。

私の両手は、先輩の手に触れたまま、ぷるぷると震えてしまう。


「そんな俺が、初めて自分でも気づかない感情を抱いたのは、優衣と出会ってからだ。ある日、廊下で偶然見かけた、ひまわりのように明るい優衣の笑顔が、俺の心に焼きついた」

先輩は、私の手をぎゅっと握りしめ、少し照れたように視線を落とす。