先輩と協力して作ったキャラ弁は少し形が歪だけど、温かさが滲む、特別なお弁当になった。

家庭科室での片づけを終えて、帰り道。私と先輩は何も話さず、ただ並んで歩いていた。

夕陽が二人の影を長く伸ばし、重なったり離れたりしている。

その影が一つになるたびに、私の胸は甘く締め付けられた。

いつもは遠い存在だった彼の隣が、こんなにも心地よくて、私は少し寂しさを感じた。

通学路の角で、ふいに柊木先輩が立ち止まる。

「稲葉」

いつもの穏やかな声色だけど、その瞳には今までにはなかった優しさが宿っている。

彼は、完成したお弁当を私に渡す。

「今日は、ありがとうな。この弁当は、俺が一人で作っていたときのものより、ずっと美味そうにできたよ。君と一緒に作ったから、そう思える」

彼の言葉が私の心に、じんと深く響く。

込み上げてくる感謝と、この胸に募る熱い想い。

私、やっぱり……先輩のことが好きだ。

この気持ちを伝えるのは、きっと今しかない。そう思った私は、勇気を振り絞った。

「あの……柊木先輩。私、先輩のことが好きです! 完璧じゃないところも、それを隠そうとしているところも……全部」