同期と私の、あと一歩の恋

本田くんの背中を追いかけながら、あることを思い出す。
 
「そういえば、来月の新商品のプレゼンは絶対に負けないからね」

前回は、自分なりに会心の出来だと思っていたのに本田くんの案が採用されて、正直すごく悔しかった。
私の負けず嫌いな部分が顔を出し、対抗意識を燃やす。

本田くんは振り返り、自信たっぷりに口を開く。
 
「望むところ。俺だって負けるつもりはないよ。そうそう、次も負けた方が飯を奢りな」

肩眉を上げて挑発的に笑う顔にカチンとくる。

「次こそ絶対に奢らせてやるんだから!」

私は負けたくないという気持ちを込めて言い返した。

さっきまでの甘い雰囲気は一転し、同期としてのライバル心が火花を散らす。
このバチバチとした感覚も悪くない。

「あと三分で朝礼が始まる。紗世、急ぐぞ」 

腕時計をチラリと確認して私を急かす本田くん。
ねぇ、今さりげなく私の名前を呼び捨てにした? 
不意打ちに鼓動が跳ねる。
 
「待ってよ」 

私は顔を赤くしながら本田くんの背中を追いかけて、隣に並ぶ。
肩が触れあった瞬間、視線が重なり胸がキュンと高鳴った。
本田くんは柔らかく微笑みながら私の頭をポンと撫でる。
彼の手の温もりに、思わず顔がほころぶ。

――勇気を出して告白して本当によかった。

これからもお互いに刺激を与えあい、成長してともに高め合っていける関係でいたい。
同期として、恋人として、この先もずっと彼の隣を歩いていこうと心の中でそう誓った。



End.