気まぐれヒーロー




頭に思い浮かべるのは、窓が粉々に砕け散り怪我人が出るんじゃないかという悪い想像。


だけどその予想は外れ、辺りにはキイィンという、石と金属がぶつかり合った音が響いただけだった。


どうやら石は窓枠に当たったらしく、跳ね返って地面へと落ちていった。

さっきまでのやかましさが嘘みたいに静まって、空気がぴんと張っているのが肌でわかる。



「スンマセ~ン、手元狂っちゃったみたいで~」



そんな中、一人呑気な口調の黒羽先輩。

たぶん……外れたんじゃない。

“外した”んだ、わざと。



「センパイ、そのよく喋るお口……縫っといた方がいいんじゃないっスか?俺が縫ってあげてもいいんスけどねぇ」



ニコニコしながら、それでいて目はあんまり笑っていない。

普通にこの人アブナイ、と思った。


白鷹先輩はずっと黙ってる。
だけどその目はもう、興味をなくしたようだった。

怖じ気づいてしまった三年生からはもうヤジが飛ぶことはなく、みんな固唾を飲んでいる。

二人に圧倒されて言葉は何も、出てこない。
全員そうなんだろう。


白鷹次郎と黒羽大駕。


何となくだけど、彼らが“ヤバい”と噂されるのがわかった気がした。


ふと……白鷹先輩が、視線を上に向けた。


ちょうど真上にいた私。


目が……合ってしまった。白鷹先輩と。