大きくなったって……私と、会ったことあるの……?
太郎さんの口ぶりが、どこかで彼と私が顔を合わせていると示していた。
でも……どこで……?
「タロー、俺の犬に触んなよ」
深く考え込んでいる私を、太郎さんから引き剥がしたかったんだろうか。
ジローさんが後ろから抱き締めてきて、自分の方に私をぐいっと引き寄せた。
「あ?」
一気に太郎さんの顔つきが険しくなって、二人して睨み合っている。
やめてよ!!
キング同士の争いなんかに巻き込まれたら、私なんてミンチになっちゃう……!!
ってヒヤヒヤしてたら、太郎さんがジローさんを拳で思いっきり殴った。
もう私は、空気と化すしかなかった。
「何回言やぁわかんだボケナス。お兄様って言えっつってんだろ。てめえの脳みそはサル以下か」
さらにもう一発太郎さんは、ジローさんにげんこつをくらわしていた。
その後も、「お兄様が帰宅したらまずは“おかえりなさいませ”だろうが!!」と、めちゃくちゃにジローさんをどつきまわしていた。
さすがキングの上を突っ走る、キングオブキング。
兄上様はジローさん以上に、暴君だった。
きっと、ジローさんにとって、触れちゃいけないことだと
ジローさんにとっての“ライン”なんだと……
思ってた。お兄さんのこと。
「たまにしか会わねえんだ、もうちょっと可愛く振舞えねーのかクソガキが!アァ!?ちったぁ愛想の一つでも振り撒いてみろ!!」
何なんだろう、これは。
少々過激ではあるけれど、なんていうか……フツーの兄弟ゲンカに見えなくもない。
「うるせえよ、一生帰ってくんじゃねーよ暴力ザル」
一方的に叩きのめされながらも、ジローさんは反抗的だった。
そして再び返り討ちをくらっていた。
誰も頭の上がらないジローさんが、ここまでコテンパンにやられる場面なんてそう見られるもんじゃない。
お兄様……最強なんですね……。


