気まぐれヒーロー



視界が、ハイジでいっぱいになる。


ハイジは私の両手を片手だけでまとめ上げ、私の頭上で押さえつけた。


両足の間には、ヤツの体が割り込んできて閉じることもできない。


全身で感じる、ハイジの……男の体の重み。



「ちょ、っと……やだ、何の冗談よ……!」



なんでこんな体勢になっているのか。


なんでハイジがこんなことを、するのか。


理解できなくて、これもヤツのオフザケなんだと思い込みたくて、眼前のハイジに尋ねる。


本当は……ハイジの穏やかではない瞳がそうじゃないと、突きつけているのに。



「お前が悪ィんだよ。隙みせるからだろ」



冷たい目で、冷たい声色で。


ちっとも笑わずにハイジは答えた。



とにかくこの状況から逃げ出したくて、もがいてみる。


だけど男の力の前ではそんなの無意味に等しくて、びくともしなかった。



「放してよ、バカ!」



わめいたって、何言ったって、ハイジはどいてくれない。


それどころか



「黙れって」



首筋に、唇を押しつけてきた。


瞬間的に体が強張る。動悸が、速くなる。


生温かくて柔らかな感触が、じわりじわりと下へ這っていく。その箇所だけが、熱い。

背筋にゾクリとしたものが走る。



「や、だ……」



見たくない。


ハイジの“男”の一面なんか、見たくない。


いつもくだらなくって、しょーもないことばかりしてるくせに。


私のことなんて、女だと思ってないくせに。


やめてよ

あんたとこんなこと、したくなんかないのに。


どれだけ力を入れたって、がっちり掴まれた手首はどうにもならない。


暴れれば暴れるほど、スカートはめくれ上がっていく一方で。



「大人しくしろよ」



私の首元に顔を埋めたまま、ハイジが呟く。


本気で、怖くて。

豹変したハイジが、私の知ってるハイジじゃなくて。


こみ上げる恐怖に……体が震えそうになった。


それなのに、ハイジは動きを止めてくれない。


ビクッと体が跳ねる。


ハイジが私の太股の内側を、つぅっと指で撫でてきた。