ハイジの濡れた髪の毛の先から、ぽたりと雫が落ちる。
首筋を伝い、鎖骨へと流れていくその様が……妙に色っぽくて。
しんとした廊下と、淡いオレンジ色の照明が、この男のどこか危うい魅力を際立てる。
なんか……変だ。
いつものハイジじゃない。
私を見下ろすその目が、獣みたいだと思った。
アブナイ気配が、渦巻き始める。
コイツから離れたほうがいいんじゃないかって、距離を取ろうとしたのと──同時だった。
「油断しすぎなんだよ」
一言私に囁きかけると、ハイジはいきなり私の腕を引っ張り……
近くの部屋に、強引に連れ込んだ。
一瞬のことで、抵抗なんて文字すら浮かばなくて。何が起きたのかわからなかった。
連れ込まれた先は、誰も使ってないと思われる畳敷きの和室。
混乱しているうちにぐるりと視界が反転して、目に映るのは天井。
ううん、それよりももっと近くに迫るのは……影に覆われたハイジの顔。
背中に感じる、畳の硬い感触。
気づいた時には私は、ハイジに押し倒されていた。


