私とタイガの間には、数メートル距離がある。
とろんとした目のタイガは、ハイジ同様かなり眠そうだった。
マジで意味わかんない。こんな時間にキンパツまで見かけるなんて。
タイガはすぐに何人かの女の子に話しかけられ、囲まれた。するとしまりのなかった顔に活気が戻って、女の子にヘラヘラ対応していた。
ヤツも顔だけ星人なんじゃないかと思うと同時に、みんなあのエロキングのどこがいいんだろうと本気で不思議だった。
そんなことを思いながら、ぼうっとキンパツを遠くから眺めていたのが悪かった。
視線をこちらに移したタイガと、目が合ってしまったのだ。
反射的に『げっ』という顔をした私に対し、タイガはビッと中指を立てるとベロを出してきた。
完璧に挑発されている。
私も負けじと親指を立てると、くいっと下に向けておいた。
それからさっさと靴を履き替え、タイガとは関わらないように自分の教室へと足を速める。
それなのに。
「お前今日のパンツ、イチゴ柄だろ」
「っ!」
背後からの声に、立ち止まらざるを得なくなった。
「な、ななな、何で知ってんの!!?」
ニヤニヤしたタイガが、廊下を歩く私の隣に立った。
「オメーの顔に『イチゴちゃんパンツはいてますぅ』って書いてあんだよ。もっと色気あるやつはけよタマちゃんよ~。そんなんじゃジローを落とせねーぞ」
「うるさいな!!あんたにパンツの忠告なんてされたくないわ、ヘンタイガ!!」
っていうか私そんな顔してる!?『イチゴちゃんパンツはいてますぅ』なんて顔してるの!?
もしそうだったら、みんなに私がイチゴちゃんパンツはいてんのバレバレじゃん!!
『アイツのパンツ、イチゴ柄らしいぜ~』とか噂されてたら死ねる。


