「あの」
浩人以外の女の子の声がして、僕は後ろを振り返る。そこに立っていたのは、ショートヘアで背の低い女の子、岡田京子だった。
僕も浩人も、突然の彼女の登場にお互いの顔を見合わせた。なぜなら彼女はこのクラスの一匹狼とでもいおうか、男子生徒だけでなく、女子生徒ともほとんど会話をしない人だからだ。
岡田さんは何か言いたげな雰囲気を醸し出している。僕たちが「なに?」と聞いてくるのを待っているようだった。
頭の中で、「19位 岡田京子」の文字がチラつく。ともすればあの事件の一番の被害者である彼女が僕たちに何か恨みを抱いていたとしても不思議じゃない。
「どうかした……?」
僕は、恐る恐る、という感じで彼女に問うた。
「安藤さんの家に行くの?」
彼女の瞳は主人が旅に出るのを見送る子犬のように不安げに揺れていた。
「いや、別にまだそう決まったわけじゃ……」
僕は、なぜ彼女が僕たちの会話に割って入ってきたのか全然見当もつかないまま、答える。
「そうなの?」
今度は隣にいる浩人の方を向き、僕の発言の真意を確かめるように訊いた。
なんなんだコイツ。ずけずけと僕らの会話に入ってきて会話の主導権を握って。まったくおもしろくない。
「うーん、俺は行くべきだと思うし、本当は奏太も行きたいんだろう」
おい!
ここでまさかの浩人からの証言が漏れる。
確かに、行きたいか行きたくないかと聞かれれば行きたい。すごく。好きな人の顔を一週間も見ていないのだ。少しでもいいから、顔を合わせたいと思うのが普通じゃないか。
それに、もし他に彼女を好きだという男がいれば、なおさらだ。
誰かが安藤さんのもとを訪ねる前に、自分が行きたいと思うのはごく自然な欲求である。
もし、ここにいる浩人が安藤さんのことを好きだったら?
一瞬よぎった考えを、頭の中で振り払う。
彼は……ないか。安藤さんは浩人のことが好きなんだろうけれど、彼も安藤さんを好きだと思っているのだとすれば、ここで僕に彼女の家へ行くようけしかけたりしないだろう。
岡田さんが、僕の目をじっと見つめる。その目が「どっちなの?」と僕を追い込んでくる。
「……分かったよ。今日、僕が行くよ」
完全に敗北。観念した。それでも、心が踊っているのは僕が男だからだろう。
「それじゃあ、私も一緒に行く」
浩人以外の女の子の声がして、僕は後ろを振り返る。そこに立っていたのは、ショートヘアで背の低い女の子、岡田京子だった。
僕も浩人も、突然の彼女の登場にお互いの顔を見合わせた。なぜなら彼女はこのクラスの一匹狼とでもいおうか、男子生徒だけでなく、女子生徒ともほとんど会話をしない人だからだ。
岡田さんは何か言いたげな雰囲気を醸し出している。僕たちが「なに?」と聞いてくるのを待っているようだった。
頭の中で、「19位 岡田京子」の文字がチラつく。ともすればあの事件の一番の被害者である彼女が僕たちに何か恨みを抱いていたとしても不思議じゃない。
「どうかした……?」
僕は、恐る恐る、という感じで彼女に問うた。
「安藤さんの家に行くの?」
彼女の瞳は主人が旅に出るのを見送る子犬のように不安げに揺れていた。
「いや、別にまだそう決まったわけじゃ……」
僕は、なぜ彼女が僕たちの会話に割って入ってきたのか全然見当もつかないまま、答える。
「そうなの?」
今度は隣にいる浩人の方を向き、僕の発言の真意を確かめるように訊いた。
なんなんだコイツ。ずけずけと僕らの会話に入ってきて会話の主導権を握って。まったくおもしろくない。
「うーん、俺は行くべきだと思うし、本当は奏太も行きたいんだろう」
おい!
ここでまさかの浩人からの証言が漏れる。
確かに、行きたいか行きたくないかと聞かれれば行きたい。すごく。好きな人の顔を一週間も見ていないのだ。少しでもいいから、顔を合わせたいと思うのが普通じゃないか。
それに、もし他に彼女を好きだという男がいれば、なおさらだ。
誰かが安藤さんのもとを訪ねる前に、自分が行きたいと思うのはごく自然な欲求である。
もし、ここにいる浩人が安藤さんのことを好きだったら?
一瞬よぎった考えを、頭の中で振り払う。
彼は……ないか。安藤さんは浩人のことが好きなんだろうけれど、彼も安藤さんを好きだと思っているのだとすれば、ここで僕に彼女の家へ行くようけしかけたりしないだろう。
岡田さんが、僕の目をじっと見つめる。その目が「どっちなの?」と僕を追い込んでくる。
「……分かったよ。今日、僕が行くよ」
完全に敗北。観念した。それでも、心が踊っているのは僕が男だからだろう。
「それじゃあ、私も一緒に行く」



