女嫌いのスパダリと、2次元命な天才少女が、カップルVTuberをするようです。


 ――縦型動画を毎日アップするには?
 あたりまえだけど、1日1本以上のペースで動画を完成させる必要がある。

 さてここで問題です!
 たとえばサビだけ歌ってみた動画をつくるとしましょう。

 曲選び・練習・音源探し・録音・MIX・イラスト・MVづくり、1日で終わらせられると思いますか?

 無理!!!!!!
 少なくとも私は練習だけで日が暮れる。

 と、いうわけで、毎日イチから作って投稿!は無理。
 じゃあどうする?

 答えは簡単。
 明日アップするぶんと、明後日アップするぶんと、明々後日(しあさって)にアップするぶん、そのまた次の日(やのあさって)にアップするぶん…………の、作業を少しずつやっていく。

 だからその日何をするかがわからなくならないように、あらかじめスケジュールを立てておいたし、ママにもかなくんにも見せた。


「ってなわけでまず、使いまわす予定の最後のおねだりから録ってくよ」
「ほーい」

 台本代わりのメモをかなくんに見せる。

二人:『私たち!』
ハル:『ふたりでカップルVチューバーデビューします! 夢はでっかく5000人!?』
カナ:『今なら最古参。よかったら推していきませんか?』

 かなくんはメモをじっと読んで顔を上げた。

「これ読めってことだろ? 読み方というか、トーンに指定ある?」
「ゆっくり過ぎず、イケボで、かな? 普段のしゃべりのままだと声バレリスクが高まるから、それだけは避けて」
「ん、わかった。……いけるよ」

 3秒くらい片目をつむってただけでもうできるんですか!?
 たしかに前「直前に台本くれれば大丈夫」なんて言ってたから、だからこうして直前にメモを渡すかたちにしたんだけど。

「んじゃやってみるよー」

 録音を開始して、指で3、2、1と示す。

「「私たち!」」
「ふたりでカップルVチューバーデビューします! 夢はでっかく5000人!?」
「今なら最古参。よかったら推していきませんか?」

 物音を立てないよう気を付けて、録音終了のボタンを押す。

「……え、一発?」
「当然だろ」
「いやいやいやいや、ここは『私たち!』の声そろえるところでズレたり、合わせようと意識しすぎて勢いがなくなったりするところでしょ!」
「NGテイクつくりたいの? 録る?」
「いや! いいよ! それは!」
「……いいんだ」
「なんでちょっと残念そうなのー!?」

 ハイスぺ、ここまでくると、怖い……!