女嫌いのスパダリと、2次元命な天才少女が、カップルVTuberをするようです。

「晴香、成長したわね……」

 おっ、おう。

「そ、そう言ってもらえると嬉しいよ」

 面食らいつつも嬉しさはあったので伝える。
 ママは、感情の整理をするように深呼吸して、それから改めて私に向き直った。

「ママからの条件は、日常生活に悪影響を出さないこと、目標を決めること。……だから、正直もう満たしてるわね」

 ママはやわらかな笑みを浮かべていた。

「がんばりなさい」

 認めてくれた。
 認めてくれたんだ!

「やったー!」

 思わずかなくんとハイタッチ。

「横にいてくれてありがとう、おかげでちゃんと言えたよ……!」
「ほんとか? 居なくてもなんとかなってそうだけど」
「ほんとだよー」

 残すはお父さん。
 かなくんに機材を買ってもらったと言ったら、どんな反応をするんだろうか……?

***

 顔合わせの日のことを思い返す。
 私はお父さんにお金はどう用意するのかと聞かれ、こう言っていた。
『同居が決まり次第おこづかいノートをお見せしますね』

 おこづかいノート。
 文字通り、おこづかいの収入と支出を書いたノート。

 機材の購入についても、おこづかいから払ったわけではないけどちゃんと書いてある。

:PC購入 -○○万円
:(かなくんに借りる +○○万円)
:マイク購入 -△△円
:(かなくんに借りる +△△円)

 まだ続くけど、ざっとこんな感じだ。

 4人そろった夜ごはんにて。

「お父さん、Vチューバーの話をしたいんですがこの後空いてますか?」
「ああ」
「……!!」

 ついに……!と息をのんだ瞬間。

「ただし、ひとりで話しに来てほしい」
「えっ?」