女嫌いのスパダリと、2次元命な天才少女が、カップルVTuberをするようです。

 そうしてふたりでママのもとへ。

「ママ、今ちょっと時間ある?」
「ええ今は大丈夫よ。……もしかしてVチューバーの話?」
「うん!」

 リビングに移動してから、私は用意した資料を見せる。
 1枚目は、「カナ」と「ハル」のキャラクターデザイン。

「私は、かなくんとカップルVチューバーになって、イチャイチャ配信をやりたいです。
 お互いの苦手の克服ができるかもしれないのと、面白そうだからです」

 資料2枚目。
 私が描いた、有名Vチューバーのファンアート。

「今どきVチューバーは、光るものがないとなかなか注目されません。
 自分で言うのもなんですが、かなくんと私はそれぞれでも十分に注目されるほどのスキルがあります。
 それらがカップルとなれば唯一無二。
 どうなるのか予想もつきませんが、きっと面白いことになるはず」

 私がファンアートを描いた人たちは、みんなみんな、すごい才能を持った人たちだ。
 けれど、私たちだって負けていない。

「具体的にする配信は、雑談や歌枠、ゲームです。視聴者さんには後方腕組みオタクになってもらい、カレカノを覗き見るような感覚で楽しんでいただくのを目指します」

 3枚目は、やりたいゲームの例としてプレイ画面の拾い画をいくつか。

「Vチューバー活動で学べそうなことは、動画編集のスキル、角が立たない言葉づかい、そしてもし収益化ができれば、税金の納め方なんかも!
 活動期間はハッキリ決めてはいませんが、1年はやりたいです。かなくん……叶方さんが大学受験をするあたりでペースを落とすかもとは思ってます」

 4枚目。一週間のスケジュールだ。

「夏休み中に配信を始めたいので、その前に5000人いくことを目標に、縦型動画を次々つくって毎日投稿したいと考えています。いちおう作業スケジュールは考えてあって、それが今見せてるこれです。宿題はもう終わったので。
 あ、それと機材は叶方さんの協力を得たので、負担してもらわなきゃなのは空調とかの電気代くらいだと思います。もし収益化できそうだとなったら少し協力してもらう必要が出てきますが」

 しゃべりきって、ふぅとゆっくり息を吐く。

「これで私の言いたかったことはぜんぶだよ。……それで、条件って?」

 ママはなんだか感極まったような表情をしていた。