リビングでは、ママがスマホをじっと見ていた。
そりゃそうだけど、まだ四宮さんはいないみたい。
いつ来るんだろう?
「今××通りに居るんだって。あと十数分で着くんじゃないかしら」
「へえ」
心を読まれた!?なんて思いながら、再婚を告げられた時のことを思い出す。
『晴香、ママが専属の家政婦として四宮さんのところに勤めに行っているのは知っているわよね』
『ママ、その人とね、再婚したいんだけど……』
話をするママがあまりに緊張してたから、一瞬、もしかしてクビになったんじゃないかと不安になりながら聞いたっけ。
四宮さん。
お父さんと息子さんのふたり暮らし。
お父さんのほうは、もういない私のパパと仲が良くて、社長?だったっけ。とにかくお金持ちで、顔が良い。
息子さんも、顔が良いらしい。
パパが亡くなって、ママがひとりで私を育てなきゃならなくなったとき、専属の家政婦としてやとってくれたんだって。
何度も何度も、さんざん聞かされた。
顔合わせ、どうなるんだろうな。
いい人っぽそうだけど、どうなんだろう。
あ。
「もし嫌だなってなったらどうなるの?」



