「私は、恋に恋してるけど、どーしても3次元に恋できなくて困ってるから、どーにかしたいハイスペック美少女中学生!」
「そしてきみは、女嫌いを克服したいハイスペックイケメン高校生!」
「ここから導かれるのは、私たちふたりはVチューバーデビューすべきだっていう事実!」

 まずは、自分を指さして。
 次は、これから家族になる兄を手で指しながら。(指さすのはよくないよね)
 最後は、手を腰にあてながら。

 言い切って、えへんとドヤ顔をした。
 いきなり思いついたわりには、けっこう良いアイデアだと思うんだ。
 さてさて、義兄の反応は。

「……そうはならないだろ」

 あきれた顔をされてしまった、とほほ。
 でも、もし、私が3次元ダメじゃなかったら、このひと言で惚れちゃいそう!
 このヒト、顔のパーツが整ってるのはたしかだし、声もいいもん。

 私は3次元が苦手、兄は女の子が苦手。
 やっぱり、お互いの苦手を克服するにはちょうどいい気がする!

 って、あれ……?

 私を今までひとりで育ててくれた、ママ。
 これから家族になる、血のつながっていない父、兄。

 みんながみんなビミョーな顔つき。

 わが家のリビングは、なんとも言えない空気に包まれていたのでした……。

 わー!冷や汗とクーラーの風が相まって涼しく感じるなー!
 あとちょっとで7月とはいえ6月のくせに暑すぎるし、これくらい涼しくなってくれてもいいよね!

 じゃなくて。

 うえ~っ、またやっちゃったーーーー!

 私は三崎(みさき)晴香(はるか)、中学二年生。
 これだから、こうなるから3次元は無理なんです。