シャワシャワシャワシャワ……

まだまだ終わりそうにない夏。

一番ちょうどいい気温の秋ですら、夏に奪われてしまう。

そんな夏が、私は大嫌いだ。

赤く光る信号が青になるのを待ち、スマホで時間を確認した。

スマホの画面を閉じ、反射される自分の顔と目が合う。

私はそれを見て見ぬふりをした。

右に曲がり、少し歩けばコンビニに着く。

コンビニのすぐ近くまで歩いていると、黒いパーカーを着てスマホをいじっている彼が見えた。

そんな彼を見た途端、私は不思議な感覚に胸をつかれる。

小走りをしながら、彼に向かっていった。

「やっほ」

私よりも高い位置から、優しい声が降り注いでくる。

彼の声を聞く度に、なんとも言えない安心感に包まれた。

「今日はなんのアイス食べよっかなぁ」

そう言って、何回会っても和らぐことのない、この胸の高鳴りを誤魔化した。

「そう言ってても結局いつも変わんないでしょ」

彼の呆れたような、でも愛があるような、そんな笑い方が愛おしかった。