契約外の初夜で、女嫌い弁護士は独占愛を解き放つ~ママになっても愛し尽くされています~

 パーティーが終わったのは、それから三十分ほどが経った頃のこと。
 数名の参加者と一緒になったエレベーターでは気まずさを感じ、ようやく一階に着いた時には気を抜いてしまいそうになった。


「あの……帰る前にお手洗いに行ってきてもいいですか?」
「ああ。ロビーで待ってるよ」


 エレベーターホールで侑李さんと別れ、化粧室に向かう。
 ひとりになった瞬間、自分でも驚くほどの大きなため息を漏らしていた。
 きっと、自覚していた以上に不安と緊張を抱え、気を張っていたからだろう。


 軽くメイク直しをしようと見た鏡に映る私は、少し老けたような顔をしていた。
 パーティーはもう終わったとはいえ、まだここはホテルの中。
 彼の知り合いに会っても不審に思われないよう、鏡の前でキュッと表情を引き締めた。


(早く帰って寝たいなぁ……。侑李さんとはここで別れた方がいいよね?)


 侑李さんのことだから、タクシーで送ってくれようとするに違いない。
 けれど、彼だって気を張っていただろうし、私のフォローをしてくれていたのだから、とても疲れているはず。
 仕事も忙しいと聞いていたため、なおのこと。


(お互いに早く帰って休む方がいいよね)


 そんなことを考えながら化粧室を出て、ロビーに足を向ける。


「辻山さん?」


 直後、聞き覚えのある、けれど聞くたくはなかった声に背後から呼ばれた。