契約外の初夜で、女嫌い弁護士は独占愛を解き放つ~ママになっても愛し尽くされています~

「そんなに緊張しなくていい。立食式だから食事はゆっくり摂れないが、パーティー自体はそこまで重苦しい雰囲気じゃないから」


 私の心情を察してか、侑李さんがそう言ってくれた。
 こんな場所で行われるパーティーが、重苦しくないわけがない。
 友人の結婚式のように、和気あいあいと楽しめるものでもないはず。
 思わず深呼吸をすると、彼が眉を小さく寄せた。


「心配しなくても、きちんとフォローするよ。俺のせいで巻き込んでしまって申し訳ないが、ちょっとしたイベントだと思って気楽に構えてて」


 もはやなにを言われても、緊張は解れない。


「粗相をしないように頑張ります……」
「いつも通りの那湖でいてくれたら充分だ」


 笑みを浮かべた侑李さんに、思わず見惚れてしまいそうになる。
 そんな私を嗜めるようにドアが開き、彼に手を引かれてエレベーターから降りた。


 三十九階の宴会場は、結婚式や披露宴にも使われるのだろう。
 二百名は入れそうな会場には、すでに大勢の人が訪れていた。
 定刻通りにパーティーが始まると、所長の挨拶や今年度の業績などの話があり、その後は『ゆっくりとお食事をお楽しみください』と説明があった。
 もちろん、早々に囲まれた侑李さんの傍にいた私は、食事どころじゃなかったのだけれど。