「すまない」
ディスプレイを確認した侑李さんが、眉を寄せつつも「はい」と対応する。
真剣で深刻そうな話し方から、急ぎの仕事が入ったのだと察した。
しばらくして電話を切った彼は、開口一番謝罪を口にし、「すぐに出なければならなくなった」と言った。
「わかりました」
すかさず頷いた私に、侑李さんが眉をひそめる。
物言いたげな顔をしていた彼は、すぐに不本意そうにしながら息を吐いた。
「この話の続きはまた近いうちに……。必ず時間を作るから」
正直、侑李さんの罪悪感や責任感をこれ以上突きつけられたくなかった。
彼が抱いているそういったものを感じれば感じるほど、私たちの心の距離を思い知らされるようで惨めだったから。
なによりも、あの夜の侑李さんのキスや触れ方に心地よさと幸福感を覚えてしまった私の心が、ひどく痛んだから。
(そっか……。私、もうとっくに侑李さんのことが……)
気づいたばかりの気持ちは、必死に見ないふりをする。
そうしなければ、取り乱してしまいそうだった。
「はい」
色々な負の感情を隠して頷くと、彼はすぐに出かけていった。
(今日、誕生日だったのにな……)
特別なことを望んでいるつもりなんてない。
けれど、誕生日の今日に侑李さんに会えることに、少しだけ胸を弾ませてしまっていた。
今は急降下した心が、ただただ悲しみで満ちている。
せっかくの誕生日だというのに、油断すれば涙が込み上げてきてしまいそう。
二十七歳の始まりの日、私はいつも通りに仕事をこなしながらも虚しさでいっぱいになっていた——。
ディスプレイを確認した侑李さんが、眉を寄せつつも「はい」と対応する。
真剣で深刻そうな話し方から、急ぎの仕事が入ったのだと察した。
しばらくして電話を切った彼は、開口一番謝罪を口にし、「すぐに出なければならなくなった」と言った。
「わかりました」
すかさず頷いた私に、侑李さんが眉をひそめる。
物言いたげな顔をしていた彼は、すぐに不本意そうにしながら息を吐いた。
「この話の続きはまた近いうちに……。必ず時間を作るから」
正直、侑李さんの罪悪感や責任感をこれ以上突きつけられたくなかった。
彼が抱いているそういったものを感じれば感じるほど、私たちの心の距離を思い知らされるようで惨めだったから。
なによりも、あの夜の侑李さんのキスや触れ方に心地よさと幸福感を覚えてしまった私の心が、ひどく痛んだから。
(そっか……。私、もうとっくに侑李さんのことが……)
気づいたばかりの気持ちは、必死に見ないふりをする。
そうしなければ、取り乱してしまいそうだった。
「はい」
色々な負の感情を隠して頷くと、彼はすぐに出かけていった。
(今日、誕生日だったのにな……)
特別なことを望んでいるつもりなんてない。
けれど、誕生日の今日に侑李さんに会えることに、少しだけ胸を弾ませてしまっていた。
今は急降下した心が、ただただ悲しみで満ちている。
せっかくの誕生日だというのに、油断すれば涙が込み上げてきてしまいそう。
二十七歳の始まりの日、私はいつも通りに仕事をこなしながらも虚しさでいっぱいになっていた——。



