契約外の初夜で、女嫌い弁護士は独占愛を解き放つ~ママになっても愛し尽くされています~

 つまり、仕事内容は把握できていて、基本のノウハウも身についている。
 研修は必要だろうけれど、昔ほど日数もかからないに違いない。
 それに、バイトをしていた時は、お客様に感謝されたり褒められたりと嬉しいことがたくさんあった。
 自分のために家事をするのは面倒に思っても、自分の仕事で喜んでくれる人と直接関われるのも楽しみだった。
 そこまで考えて、ハッとする。


「さっちゃん、ごめんね。ありがたいんだけど、私は正社員で仕事を探してて……」
『当然でしょ。私だってそのつもりで連絡してるわよ』
「えっ? いいの?」
『学生じゃあるまいし、バイトで雇おうなんて思ってないわよ。そりゃあ、那湖がバイトで雇ってほしいなら別だけど』
「ううん! そんなこと思ってないよ! でも、甘えていいのかな……」


 身内に雇ってもらうなんて、引け目を感じてしまう。
 この仕事がしたいという理由ならともなく、バイトとしては楽しかった仕事だったけれど今は選択肢になかったことだから。


『いいわよ。可愛い姪が困ってるんだもの』


 ただ、そんな気持ちはさっちゃんが即答してくれたことで吹き飛んだ。