契約外の初夜で、女嫌い弁護士は独占愛を解き放つ~ママになっても愛し尽くされています~

 ところが、私の背中に回された手によって落下を免れたことに気づく。
 すぐに目を開けると、目の前に侑李さんの顔があった。


「っ……」


 声も出ないほどに驚いて、心臓が大きく跳ね、息を呑んでしまう。
 美しい顔が目の前にある威力は凄まじく、鼓動がバクバクと鳴り響いている。
 私の体はソファの座面に横たわる寸前で、咄嗟に支えてくれた彼は私に覆い被さるような体勢だ。


 早く自分で起き上がって、侑李さんから離れて……。頭の中ではそんな風に考えているのに、体は金縛りに遭ったかのごとく動けなくなった。
 唇を動かそうとしても、喉になにかが張りついたように声が出せない。


 視線も逸らせないままでいると、背中に添えられたままの彼の手がわずかに動いた。
 直後、私の体がビクッと跳ねる。
 くすぐったいような感覚に、微かに吐息が漏れた。


「那湖」


 低くて甘い声に鼓膜をくすぐられ、心臓が再び大きく跳ね上がる。
 名前の呼び方に熱がこもっている、なんて思うのはきっと気のせい。
 頭ではそう判断したのに、また高鳴った鼓動が私から冷静さを失わせていく。


 動揺していたせいか、綺麗な顔が近づいてくることに気づくのが一瞬遅れて……。

「ゆっ……」

 侑李さんの名前を呼ぼうとした唇が、彼によって優しく塞がれてしまった。