「おいしいです」
侑李さんは、なにも言わずに微笑んだだけ。
そんな態度が、以前よりも彼との距離を近くに感じさせる。
(っていうか……服から侑李さんの匂いが……)
借りた服から侑李さんの香りが鼻先をくすぐってくるせいか、彼の心にも近づけたような錯覚に陥った。
そんなはずはない……と、必死に自分自身に言い聞かせる。
けれど、鼓動がやけに大きく聞こえて落ち着かず、どんどん勘違いしてしまいそうになる。
室内がしんとしていることが、余計に私の思考をおかしくさせた。
「さっき確認したんだが、一部の電車が止まってるそうだ」
「そうなんですか?」
その言葉に驚いた私は、彼に断りを入れてスマホを見させてもらう。
社員専用のチャットグループには、さっちゃんから電車の遅延や運転見合わせの情報とともに【今日は全員直帰してください】というメッセージが届いていた。
「本当ですね。会社からも直帰するように指示が入ってます」
私が使っている沿線も、現在は運転を見合わせているようだ。
雨雲レーダーを見る限り、まだしばらく雨は続きそうだった。
「それなら、天気が落ち着くまでうちにいるといい」
「えっ? でも……」
「帰りが遅くなるようなら、車で送っていくから心配するな」
侑李さんの提案に目を丸くした私が気にしたのは、自分の帰りの交通手段じゃなくて彼のこと。
侑李さんは、なにも言わずに微笑んだだけ。
そんな態度が、以前よりも彼との距離を近くに感じさせる。
(っていうか……服から侑李さんの匂いが……)
借りた服から侑李さんの香りが鼻先をくすぐってくるせいか、彼の心にも近づけたような錯覚に陥った。
そんなはずはない……と、必死に自分自身に言い聞かせる。
けれど、鼓動がやけに大きく聞こえて落ち着かず、どんどん勘違いしてしまいそうになる。
室内がしんとしていることが、余計に私の思考をおかしくさせた。
「さっき確認したんだが、一部の電車が止まってるそうだ」
「そうなんですか?」
その言葉に驚いた私は、彼に断りを入れてスマホを見させてもらう。
社員専用のチャットグループには、さっちゃんから電車の遅延や運転見合わせの情報とともに【今日は全員直帰してください】というメッセージが届いていた。
「本当ですね。会社からも直帰するように指示が入ってます」
私が使っている沿線も、現在は運転を見合わせているようだ。
雨雲レーダーを見る限り、まだしばらく雨は続きそうだった。
「それなら、天気が落ち着くまでうちにいるといい」
「えっ? でも……」
「帰りが遅くなるようなら、車で送っていくから心配するな」
侑李さんの提案に目を丸くした私が気にしたのは、自分の帰りの交通手段じゃなくて彼のこと。



