契約外の初夜で、女嫌い弁護士は独占愛を解き放つ~ママになっても愛し尽くされています~

 バスルームから出てリビングに戻ると、侑李さんがキッチンにいた。
 彼は洗いざらしの黒いシャツにダークグレーのスキニーパンツという格好で、いつもよりもラフな姿だ。
 窓の向こうの空には、雨雲しかない。
 日が沈むような時間帯でもあるから、天気とあいまっていつも以上に暗く見えた。


「お風呂、ありがとうございました。それから、着替えも……」


 私を見た侑李さんが、ギョッとしたように目を丸くして視線を逸らす。
 それもそのはず。私は今、ズボンを穿いていないのだ。


 着替えを貸してもらえたことは、本当にありがたい。
 上下セットのスウェットは、着心地はとてもいい。
 ただ、ズボンはどうしてもずれてしまって、使えなかった。


「……服、大きくて悪いな」
「いえ、お風呂も服も貸していただけて助かりました」


 掃除や浴室乾燥を使う時くらいしか入ったことがない広いバスルームでは、ずっと落ち着かなかった。
 せっかくバスタブにお湯を張ってくれていたけれど、すぐに出てしまったくらい。


「それくらい構わない。コーヒーを淹れたから、服が乾くまで休もう」
「ありがとうございます。ですが、私は仕事が……」
「今日は料理はしなくていいから」


 あまり断るのも憚られ、ひとまず頷いてふたりでソファに移動する。
 ミルクと砂糖をコーヒーに入れて混ぜ、「いただきます」と一言添えてからカップに口をつけた。