契約外の初夜で、女嫌い弁護士は独占愛を解き放つ~ママになっても愛し尽くされています~

 数日後の土曜日。
 十四時に仕事で侑李さんの家に行くと、彼は玄関で迎えてくれた。
 婚約者にふりをすることになってから、仕事で訪れた日に彼がいるのは初めて。
 そのせいで、妙に緊張してしまう。


 アーサー・椎名法律事務所は、裁判所が開いていない土日と祝日は休みなのだとか。
 とはいえ、『クライアントの都合に合わせて出勤することもある』と聞いている。
 今日は休みのようで、一日中家にいる予定であることは事前に知らされていた。


「普段の業務以外にもご要望がありましたら、お申し付けください」


 私はそう断りを入れ、いつも通り業務を進めていく。
 一方で、櫻庭さんはタブレットを片手にリビングのソファに座っていた。
 珍しいな、と思う。
 私が来る時に彼が仕事をする場合は、いつも書斎にこもっていたから。


 買い出しに行く時や用事があれば声をかけるものの、仕事の邪魔をしないようにしているし、侑李さんも書斎から出てこないため、基本的にあまり顔を合わせない。
 だからこそ、私が洗濯機を回してリビング以外の部屋から順番に掃除をしている間もそこから動かないことが不思議だった。