契約外の初夜で、女嫌い弁護士は独占愛を解き放つ~ママになっても愛し尽くされています~

「探してるんだけど、なかなか……。もうちょっと頑張ってみて無理だったら、派遣会社に登録しようと思ってるんだ」


 年齢相応の平均的な貯金はあるし、すぐに路頭に迷うことはない。
 そうは言っても、小さなアパートでも東京ではそれなりの家賃が必要で……。物価高の今、節約をしていても生活費だってそれなりにかかる。
 実家を頼ることはできるけれど、できれば避けたい。


『じゃあ、うちで働かない?』
「えっ?」
『ちょうど今、人手不足なのよ。家庭の事情で、立て続けに三人も退職者が出ちゃってね。新しい人も探してるんだけど』


 思ってもみない提案だった。
 こんな話だとは予想もしていなかったけれど、正直に言うととてもありがたい。


『もちろん無理にとは言わないけど、那湖はうちでバイトしてたし、要領もわかるだろうから、仕事が決まってないならどうかなって』


 さっちゃんの会社——『花本パートナーサービス』は、家政婦とベビーシッターの紹介所だ。
 私は大学時代、深雪とともに家政婦としてバイトをさせてもらっていた。
 最初は大学一年生の夏休みだけという話だったけれど、もともと家事が好きだった私はやり甲斐と楽しさを感じ、そのまま卒業まで続けたのだ。