(侑李さんはあくまで依頼主で、私は婚約者のふりをしてるだけ。だから、勘違いしちゃダメ……。必要以上に深入りしないように気をつけなきゃ……)
頭では、そうわかっている。
何度も何度も、似たような言葉を繰り返し自分自身に言い聞かせている。
「那湖、やっぱり俺にも一口くれないか」
けれど、時折こんな風に親しげにされて、動揺せずにはいられない。
侑李さんは、スプーンでティラミスを掬ったばかりの私の手に自分の手を重ねると、誘導するようにそれを口に運んだ。
私が使っていたスプーンが、彼の口内に消えていく。
ちらりと見えた赤い舌が妙に艶めかしくて、頬がかあっと熱くなった。
「確かにおいしいな。人気になる理由がわかる」
侑李さんの振る舞いはごく自然で、動揺する私の方がおかしいのかと思うほど。
恋愛経験がない私には、このあとどうするのが正解かわからない。
彼に見つめられているせいで、スプーンを持つ手が止まってしまった。
それなのに、侑李さんが優しくしてくれたり恋人のよう接してくれたりすると嬉しくて。同時に、彼は恋人にはこんな風に穏やかな態度を見せるのかと思うと、胸の奥がざわっ……としてしまう。
その理由がわからないまま、今夜も私は侑李さんの運転する車で送ってもらい、車内で彼との距離が近いことにドキドキさせられていた。
頭では、そうわかっている。
何度も何度も、似たような言葉を繰り返し自分自身に言い聞かせている。
「那湖、やっぱり俺にも一口くれないか」
けれど、時折こんな風に親しげにされて、動揺せずにはいられない。
侑李さんは、スプーンでティラミスを掬ったばかりの私の手に自分の手を重ねると、誘導するようにそれを口に運んだ。
私が使っていたスプーンが、彼の口内に消えていく。
ちらりと見えた赤い舌が妙に艶めかしくて、頬がかあっと熱くなった。
「確かにおいしいな。人気になる理由がわかる」
侑李さんの振る舞いはごく自然で、動揺する私の方がおかしいのかと思うほど。
恋愛経験がない私には、このあとどうするのが正解かわからない。
彼に見つめられているせいで、スプーンを持つ手が止まってしまった。
それなのに、侑李さんが優しくしてくれたり恋人のよう接してくれたりすると嬉しくて。同時に、彼は恋人にはこんな風に穏やかな態度を見せるのかと思うと、胸の奥がざわっ……としてしまう。
その理由がわからないまま、今夜も私は侑李さんの運転する車で送ってもらい、車内で彼との距離が近いことにドキドキさせられていた。



